石川直樹『ぼくの道具』
探検家、写真家である著者が、愛用の道具を紹介したもの。もちろん所有欲を刺激されるのだけれども、それ以上に憧れを醸成する働きがあるように思う。
類似の書に、高橋大輔『命を救った道具たち』がある。
こちらのほうがやや「探検」的な色彩が濃いように思う。エピソードの紹介もそうだし、その道具をどこで使ったのか、ということが地図からわかるようになっている。
共通点は、どちらの著者も愛用の靴としてダナーライトを紹介していること。
もうひとつ。『ぼくの道具』の中で、それなりの分量をさいて極地でのトイレのことが書かれている。それを読んで、みなもと太郎『風雲児たち』に、大黒屋光太夫がロシアを移動中、馬車から尻だけ出して素早く用を足す、というシーンがあったことを思い出した。用を足すことも自由にできない、というのは、苛酷さをリアルに想像させるきっかけになるな、と思った。
桜井俊彰『消えたイングランド王国』
UKの人たちはどうやらフランスが一番自分たちに「近い」と感じているらしいのだけれど、この本を読んで、その理由がやっとわかった。冒頭で、イギリスの外相の台詞をひいて、イギリス人たちが「自分たちの国がフランスによって作られた」と考えていることが紹介される。その理由は、1066年のノルマン・コンクエストが現代英国史のはじめとされているからなのだそうだ。こうした事例を聞くと、やっぱり歴史を勉強するのは意味があるよな、と感じます。
梅原大吾『1日ひとつだけ、強くなる』
1日ひとつだけ、強くなる。 世界一プロ・ゲーマーの勝ち続ける64の流儀
- 作者: 梅原大吾
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/中経出版
- 発売日: 2015/07/10
- メディア: 単行本
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色んな分野の人が、勝負に勝つ方法や心がまえを説く本を、僕は勝手に勝負論と呼んでいるのだけれど、その中でも、羽生善治さんと並んで、「強い人の考え方だな」と感じるのがこの本の著者のウメハラさんの考え方です。現代の双璧だと思います(がもちろん網羅しているわけではないので自信はないです)。
しかしタイトルがとても良いです。修練の積み重ねというか、功夫を感じさせるというか。実際のところ、武術の達人の思考にふれたような気持ちになる一冊でした。